物語は続く(7)屋根の上の男
時代は前後するが、先の物語の治は後にこの家に婿として入る。浅草で印刷などを生業とする清治の家である。写真の上、屋根の部分に注目したい。屋根の上に立つハットを被った男。清治である。新しいモノが好きで、物事を俯瞰でみたいという精神はこの写真にも反映されている。今も残る本郷三丁目の土屋トレーディングの土屋さんと高周波で木材を曲げる機械で何か仕掛けようとしていた頃である。現在もフェラーリの輸入など貿易商であった土屋さんから海外の技術を見聞きすることも多かったであろう清治は、後に治が話すZOOGAMIの話を土屋さんに質問したようだ。イタリアのものなら何かしら情報があるだろうという判断だったようだ。
土屋さんは後に清治に忠告した、「触れないほうがいいようですよ」 と。